病気のことについての相談は多くあります。
病気に種類があり、効く薬がそれぞれで違うように、密教的な祈りも症状や進行具合に応じて工夫をします。
その中でも、やはり「心」の病はかなり手強い。
症状が一時的に良くなっても、根本的な思考の癖を改善していかなければ、再び悪化してしまいます。
思考の癖とは、考え方の偏りや、を指します。
たとえば、何か良くない出来事が起こったときに、何でも自分に原因があるように考えてしまう思考パターンが、それに当たります。
他にも、物事の結果を白か黒という極端な二択で考えてしまうパターンなどもあります。
こういう思考の偏りが出るのは、その人にとって、慣れた考え方だからという説があります。
慣れた考え方に偏ってしまうのは、脳が一番楽に活動しようとしているからと言われています。
心の病は、ただでさえしんどい状態です。
楽に活動しようとするのは、これ以上しんどいことをして、心が壊れてしまうのを防ごうとする、無意識で働く防衛本能でもあります。
人間の心は、実に複雑で難しい。
当人が悩んで苦しむのと同じように、僧侶も祈りの工夫のために努力し、苦しみ悩む。
身体に合う薬を見付けるように、状態に合う祈り(祈祷の方法)を見付けなければいけません。