ある密教の本を貸し借りを巡り、弘法大師空海と最澄師が手紙のやり取りをしていました。
通説の1つでは、それが元で仲違いをしたと言われています。
「本を貸して欲しい」という手紙を携えた最澄師のお使いに、弘法大師空海が返事をその場で書いて手渡したそうです。
内容は、かなり厳しく強烈です。
言葉こそ丁寧な言い回しですが、僧侶として「こんなこと言われたらたまらない」という言葉が続きます。
その手紙に対して、最澄師が再び返事を出したのかは不明です。
今の我々が、この手紙の内容を知ることが出来るのは、そのときに最澄師が手紙を大切に保管していたからこそです。
怒ってグチャグチャに丸めたり、(私なら)破り捨てたりしてもおかしくないほどの内容です。
最澄師の懐の深さと、偉大さがうかがい知れます。
また、弘法大師空海も、最澄師なら表面的な内容に留まることはなく、真意や真心を汲み取ってくれると信じて書いたのだと思います。
お二人とも、流石としか言いようがありません。
私も凡人なりに努力して、いつか追い付きたいものです。