ご位牌に書かれた戒名を見ていると、「寿」の字が書かれているものがあります。
きっと、長生きされた故人なのだろうなぁと、感慨深く拝んでいました。
「鶴」とか「亀」も長生きされた方に使うことがあります。
僧侶同士で話していると、「近頃は、戒名に『寿』を使うと怒る家族さんがいるので、その漢字は避ける」とのこと。
「『寿』は、『おめでたい』を意味する漢字。死んでるのに何がおめでたいのか!」と仰るそうです。
お気持ちはお察しします。
しかし、これはしっかりと考えなければなりません。
どうして怒られることになるのか。
怒られるから避ける、というのは安直すぎる。
遺族からしっかりと話を聞いて、またしっかりと話し合えていない可能性があります。
「死」には色々な形があります。
満足いく「死」は有り得ないとも言えます。
しかし、「やりきった」と言える「死」はあるはずです。
天寿を全うするという言葉もあります。
生ききった人生だと言えるなら、「寿」も決して間違いではないと思います。
「死」を悲しみに包まれたものだけに留まらせるのか、次に向かう為のステップと出来るのか。
単なる儀礼的な「戒名」では、それこそ怒られて当然。
ちゃんと、向き合って理解し、意味を伝えて、話し合っていかないから誤解が生まれるのではないでしょうか。