先日、先輩の僧侶と話していたときに「とにかく忘れることが大事やね」という話題になりました。
これは、僧侶なら特に大事になる話ですが、そうでなくても当てはまる部分もあるかと思います。
忘れてはいけないことは必ずあります。
恩や義理などはそうです。
誓いや約束もそうだと思います。
大雑把に言えば「人として」の根底を成すものです。
これは、幸福な人生を送るために必要なもの。
ある場面では、あえて捨てることも生き抜くための戦略的な視点と考えれば、必要かもしれません。
忘れることで、前に進めるようになることもあります。
我々僧侶は、とにかく執着を無くすことが修行の目的の1つです。
なかなか難しい。
仕事だと、上手く出来たら「この感覚を忘れないようにしよう」ということがあると思います。
しかし、僧侶の場合、昨日出来た仏様と感応しているあの感覚をもう一度…など思って拝んでしまうと、過去の感覚に執着しているという状態になります。
常に「忘れて」臨まないといけません。
とはいえ、記憶を無くすなど出来ません。
修行不足なため、どうしても上手くいったときの感覚を追いがちになります。
忘れるということは、実はとても難しいことなのです。