僧侶になる前は、専門職として某企業で働いていました。
とはいえ、現場は10年そこそこで、あとは経営や運営マネジメントに携わっていたので、専門職というよりは一般的な社会人という立場でした。
私は、お寺の出身ではないので、元々僧侶の世界については知識はゼロの状態。
師匠からは「体験して学びなさい」ということで、一切どういった世界なのか聞かされていませんでした。
修行道場では、カルチャーショックの連続。
今まで備えてきた社会人としての常識やルールなど、あらゆるものがここでは違う。
かなり戸惑いましたが、今は馴染んで「普通のこと」になりました。
専門職出身の私が、再び僧侶という専門職になってみて感じることがあります。
簡単に言えば、その世界の人たちの常識は、一般社会からしたら、かなり「それた」ものになっているということ。
それは、専門職の弱点でもあり、ある意味では強みでもあります。
勿論、僧侶や専門職のすべての人たちが、一般社会の常識から、それているわけではありません。
ごく一部の「声の大きい人たち」が悪目立ちしているだけでしょう。
僧侶になって師匠から言われたのは、「僧侶は世間離れしてはいけない」ということでした。
この言葉は、色んな意味を含んでいますが、この常識についての感覚にも当てはまりました。
一昔前の僧侶ならいざしらず、社会と密接に関わっている現代の僧侶は、やはり両方を兼ね備えるべきだと考えています。
そうでないなら、対象の気持ちに寄り添うことも出来ないから、人や動物の為に祈るなど当然出来ないと思います。
そして、時代の変化にもついていけず、このままでは生きた化石となってしまうでしょう。
両極端に偏らず、伝統を重んじつつも、時代の変化や社会の流れにも柔軟に合わせることが大切だと感じます。
私の周囲には、同じ感覚を持った法友が何人かいます。
とても心強いです。