僧侶という立場上、色んな相談を受けることがあります。
元々私は、対人援助の専門職を長く勤めておりましたので、積極的に耳を傾ける「傾聴」ということがとても大事だと知っています。
長い時間、お話を伺えないときでも、なるべく気持ちに寄り添うようにしています。
無闇やたらに、励まさない。
話題をそらさない。
「世の中全体を見れば、大した事ない」など、気持ちに向き合わずに逃げることは、相手を大きく傷付けます。
当然、身内との死別に関しての話は多い。
若くして亡くなられた方の遺族は、心の中が嵐のようになっている場合が殆どです。
「私たちの気持ちがわかりますか?」と、仰られたときは「分かろうと努めているが、聞いたこと以上は分からない」ということを伝えています。
勿論、言葉は選びますが…嘘はつけません。
ときに、説法で救われることはあります。
ただ、それには然るべき準備が必要なのではないかと思います。
しっかり吐き出してもらって、まずは心の中の嵐を少し緩めること。
準備せず、いきなり説法しても、それは僧侶の自己満足でしかないように思います。