真言宗 共生庵

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四恩

密教の教えの中に、四恩という言葉が度々出てきます。

 

四恩の徳を報ずるなどで使われます。

 

我々人間は、社会生活を送る中で様々な恩恵を受けて生きています。

それは、大きく四つに分類される。

 

まずは父母。

そもそも生まれてくるために、両親が必ず必要です。

多くは、父母に見守られながら成長し、人生を送ります。

 

次に国王(天皇)。

過去には天皇が政務を執り仕切っていました。

国造りに励むことで、人々が安心して平和に暮らせることが出来ます。

 

次に衆生

自分と、それ以外のあらゆる存在。

助け合う関係です。

 

最後に三宝

仏・法・僧の3つを指します。

尊い存在(仏)と教え(法)、それを信じて実践する同志(僧)。

 

この四つの要素を総合して「四恩」と言います。

 

個人的に好きな言葉です。

特に、衆生の考え方が好きです。

助け合う関係と書きましたが、実はとても深い意味があるからです。

 

自己という存在を確信するためには、他の存在が必要になります。

 

そして、他の存在を認めることは、自己の尊厳に繋がります。

自分らしく、自分として生きていくということが実は難しく、誰かがいてくれてるからそれが可能になるということ。

 

一匹狼を気取っても、それは自分以外の存在がいるから「一匹」という表現が可能になります。

知らず知らずに、他の存在によって自分の存在が確立しているのです。

 

それはアイデンティティの形成や、リアリティなどにも深く関わっています。

 

昨今の社会では、これらについてなかなか素直に「その通り」とは言えない複雑さがあります。

 

私自身も「四恩に報いる」と言われても、まだまだ不足していると思います。

 

ただ、色んな恩恵を受けていると「理解する」だけでも一歩前進です。

常に感謝は難しくても、一日一個でいいから「ありがとう」が言えたら良いかと考えています。