お地蔵様と閻魔様が同体であることは、以前に書きました。
一般的には、怒った顔の「閻魔大王」が有名ですが、密教では閻魔天、または焔摩天と表され、菩薩様と同じく柔和な表情をされています。
基本的な働きは、多少似ているところもありますが、面白いのは持ち物です。
閻魔天が持っているのは「人頭幢(にんとうどう)」という杖。
他にも呼び名があります。
見た目はだいたい同じ。
杖の先に半月(お皿と言われることもありますが、半月です)が付いていて、その上に人の頭部が乗っているものです。
この杖の先の頭は、死者の生前の行いなどをジャッジする役割があります。
何でも、その人となりを見抜いてしまうそうです。
閻魔大王の閻魔帳(生前の行いの書かれた帳簿)と鏡(生前の行いを映すもの)が、それに当たりそうです。
姿形は違えど、同じ働きがあるのが「おとぎ話とはちがうなぁ」と安心するところです。
閻魔天はあくまで中立の立場で、事実と、人頭幢や獄卒たちの意見を聞き、最終的な輪廻が決定します。
ジャッジするにも、複数の目と価値観を統合しているのが、実に合理的な裁判です。
また、閻魔天にはお妃様がいらっしゃいます。
黒闇天女(吉祥天女という福の神の妹さん。疫病神として言われることもあります)とも言われますが、諸説あります。
結婚されてるという、少し人間らしいところもあるのも好きなところ。
因みに閻魔大王は、あの世の住人第一号だそうです。