日の出前の時間は空気が澄んでいます。
丑三つ時と言われる午前二時は、草木も眠るどころか虫も眠ると考えられていた時間です。
昔の僧侶たちは、この時間に水を汲んで修法に使用していたとか。
水の中の虫たちは寝ているため、下に沈みます。
なので、上澄みを取れば「殺生」することはないと考えていたようです。
現代科学からすれば、微細な生物がいてるため殺生をしないなど不可能と結論付けてしまえますが、当時の僧侶たちの「せめて」の考えだったのでしょう。
また、その水を汲んで、香木などを煮出して「香水(こうずい)」というものを作っていました。
漢方薬のような匂いに似ているのですが、香水の香りが不浄を清めるとされてます。
修法の中の所作で、木の杖(40〜50cmほどの杖)で香水をかき混ぜて、「乳水(にゅうすい)」を作ります(香水が乳水に成ると観念して作ります)。
その乳水を撒くことで場を清めます。
香りで空気、水で空間を洗い清める感じです。
水で空気は清まらない。
なので、香りを使います。
香りで汚れは落ちない。
だから、水を使う。
よく出来た考えです。