仏具の耐用年数は数百年にのぼります。
おいそれと、壊れるものでもありません。
さらに、それは未だに現役で使用されているのですから驚きです。
その耐用年数の長さが価格の高さに繋がります。
量産して、価格を下げて「薄利多売」を狙うものではないのです。
その一品を作れば、その先何百年と注文が入ることはありません。
だから当然高額になります。
当庵で使用している仏具も、江戸時代のものがあります。
その仏具は、法友のお寺の蔵にあったものを譲って頂いたものです。
当時の私は、修行道場から出て、何も持っていない。
法友たちに「仏具が高過ぎて買えない!」と相談(愚痴)をしていました。
1人の法友が「大変古いものですが、良かったら使いますか?」と言ってくれました。
蔵から出したばかりの時は、青く錆びていました。
磨いたら、作り立ての十円玉のような美しい赤茶色。
大概は金なので、珍しい色です。
御礼を包みましたが、後日に9割以上が返されて「ほぼ無償で頂戴した」形となりました。
感謝という言葉では足りない。
有難いという言葉では表しきれない。
それは、何世代にも渡り、誰かの為に祈ることに使われたもの。
計り知れない価値があります。